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走る力をつくる栄養学 マラソンランナーが今すぐ取り入れたい8つの食事戦略

  • 執筆者の写真: BaSRC
    BaSRC
  • 2024年6月15日
  • 読了時間: 6分

マラソンはとても厳しい運動です。マラソンを走り切るためには、体重1㎏あたり約1kcal/1kmのカロリーが必要だといわれています。仮に体重60㎏であれば60kcal × 42.195km ≒ 約2,500〜2,600kcalが必要だといわれています。

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これは純粋に走るためのエネルギー消費で、実際には心拍数や筋肉負荷による追加消費、体温維持のための熱産生なども加わります。寒い日やアップダウンの多いコースでは+5〜15%程度カロリー消費が増えることもあります。

さらに、トップランナーのような速いペース(1km4分未満)だと糖質利用割合が高く、酸素消費量も大きいため、1時間あたりの消費は800〜1,000kcal以上になるケースもあるようです。目標タイムでマラソンを走り切るための基本的な栄養知識を参考に、楽しみながら怪我することなくランニングライフが充実することを期待しています。

炭水化物


走るエネルギーをしっかり確保


マラソンのパフォーマンスの鍵は、筋グリコーゲンという炭水化物の貯蔵量にあります。トレーニングやレース中に身体を動かし続けるためには、これが持久力を支える最重要要素です。

研究機関の報告によると、高頻度・高強度のランナーは、体重1kgあたりおよそ5~8g/日の炭水化物を必要とし、よりハードな場合は7~10g/kg/日が望ましいとされています。さらに、エネルギー比率では、総カロリーの約60%を炭水化物にするというマクロ栄養分布が推奨されています。

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カーボローディング(炭水化物の貯蔵量をピークにする方法)は、レース直前の24~48時間で10g/kgを摂るスタイルが効果的です。トレーニングの負荷を減らしながら、炭水化物中心の食事に切り替えるシンプルな工夫が成功のポイントです。

加えて、レース中の糖補給は非常に重要。60~90g/時間の複数の炭水化物源(例:グルコース + フルクトース)が吸収効率を向上させます。これは“ボンキング”(エネルギー切れ)を防ぎ、最後まで安定した走りを可能にします。

たんぱく質


筋肉の修復と強化を支える


走ることで筋繊維は微細な損傷を受けます。回復と強くなるための鍵となるのがたんぱく質です。持久系アスリートでは、体重1kgあたり1.2~2.1g/日のたんぱく質が推奨され、推奨上限は1.3~2.1g/kgともされています。

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植物性荷重ランナーには、レンズ豆とご飯のように「完全たんぱく質」を意識した組み合わせも有効です。さらに、トレーニング後30分以内の回復ウィンドウで15~30gのたんぱく質と60~120gの炭水化物を同時に摂取すると、筋グリコーゲンの回復と筋損傷の修復に効果的と言われています。



脂質の質と量


重要な燃料と生体調整役


脂質は高エネルギーの燃料であるだけでなく、脂溶性ビタミンの吸収やホルモンの生成、細胞膜の構成にも必要不可欠な栄養素です。推奨される摂取比率は総カロリーの約25%程度。


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また、研究によれば、不飽和脂肪・鉄・カリウム・マグネシウムの適切な摂取は、ランニングパフォーマンスの改善や心血管的健康にも良い影響を与えるとの報告もあります。良質な脂質としては、魚やナッツ、オリーブ油などのオメガ3/オメガ6を含む食品がおすすめです。



水分と電解質


脱水も過剰も防ぐハイドレーション


マラソンでは、発汗により体重の最大8%が失われることもあり、脱水はパフォーマンス低下や熱中症リスクに直結します。


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しかし、逆に過剰な水分摂取は低ナトリウム血症(ハイポナトリウム血症)を招くため注意が必要です。喉の渇きを目安にした水分補給と、適切なナトリウム補給(スポーツドリンクや補給食など)を組み合わせることが重要です。



ミネラルとビタミン


見逃せないサポート栄養


鉄は赤血球の酸素運搬に不可欠で、持久系アスリートでは欠乏リスクが高まります。また、マグネシウム、カリウム、亜鉛は筋収縮や代謝機能に関わり、不足するとパフォーマンス低下や疲労が増します。


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ビタミン面では、抗酸化作用のあるビタミンD・E、免疫や疲労回復に関わるB群やビタミンCなども意識しましょう。現代社会ではビタミンD不足の傾向があり、紫外線曝露・食品からの補給が重要です。



腸と炎症への配慮


食物繊維と脂質の質が鍵


最新の研究では、ランナーの脂質・食物繊維・総エネルギー摂取量が多いほど、ランニング関連のケガリスクが低下する傾向があるとされています。理由としては、脂質によるホルモン・免疫の調整、食物繊維による腸内環境改善と炎症抑制が背景にあると考えられます。


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適切な食物繊維摂取(果物、全粒穀物、野菜など)は、腸内のバリア機能や免疫機能を支えるため、消化トラブルの予防にも役立ちます。



タイミングと実践


いつ・何を・どう摂る?


トレーニング日の食事例


  • 朝食:オートミール+バナナ+ナッツ+ヨーグルト—炭水化物、良質な脂質、たんぱく質が一皿で整います。

  • トレーニング中:20~30分おきにエネルギージェルやスポーツドリンクなどで補給。60~90g/時間をめやすに。

  • 後:スポーツ科学では筋グリコーゲン回復のため、15~30gのたんぱく質と60~120gの炭水化物を30〜60分以内に摂取するのが望ましいとしています。


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レース前~当日の食事戦略


  • 2~3時間前:消化しやすい炭水化物中心の軽食を。たとえばバナナやオートミール、低脂肪ヨーグルトなどが安心です。

  • 30~60分前:軽いスナック(ライスケーキ、フルーツなど)でエネルギーを安定させつつ胃を落ち着かせます。

  • レース中:エネルギージェルやドリンクで定期的に炭水化物補給を続けましょう(60〜90g/時間)。


レスト日や回復期

  • 積極的に高タンパク食と美味しい炭水化物(芋・ご飯・パン・果物)を取り、筋肉修復と疲労回復につなげます。


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サプリメントの賢い取り入れ方と注意点


「食べることを基本に。サプリは補助」とするfood‑first(食事優先)思想がスポーツ界でも推奨されています。実際、距離ランナーの約50%がサプリを常用しており、内訳はビタミン(43%)、ミネラル(34%)、炭水化物/たんぱく質系(19%)というデータもあります。


過剰なサプリ摂取は健康リスクやドーピングリスクにつながることもあるため、「必要な栄養を食から」×「不足が明確な場合の補助」としての導入が基本姿勢です。



即実践できる「マラソン栄養8か条」


  1. 炭水化物を体重1kgあたり7〜10g/日取り、レース前にカーボローディングする

  2. たんぱく質は1.2~2.1g/kg/日に。トレ後の回復ウィンドウも活用

  3. 脂質は総エネルギーの約25%。不飽和脂肪を中心に取り入れる

  4. 水分は喉の渇きでコントロール。ナトリウムなど電解質の補給も忘れずに

  5. 鉄、マグネシウム、カリウム、ビタミンD・Eなどを意識して不足を避ける

  6. 腸の健康と炎症対策に食物繊維と良質脂肪を積極的に含める

  7. 食べるタイミング、内容を練習・レース・回復期に分けて戦略的に設定

  8. 「食事>サプリ」。必要に応じてカフェイン・鉄・ビタミンDなどを補助的に使用



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